サインはNGで複製可能な印鑑はOKという社会


最近はサイン(自署)OKな書類も増えてきましたが、未だにサインNG、印鑑のみOKというシーンが少なくありません。

昔から、なぜ複製不可能なサインはNGで複製可能な印鑑をOKとしているのか、未だに理解できないです。

確か商法では、記名捺印をもって署名に代えることが出来る、と規定されていたと思います。

つまり、本来は署名しなければならないところを記名捺印で「代用」することが出来る、と言っている訳です。

なので本当は署名でもOKなはずなのですが、銀行などで口座開設する際には必ず押印を要求されます。

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本人じゃなくても引き出しできる銀行口座

アメリカの銀行で窓口で引き出す場合は、所定の用紙に金額と自署を書いて本人確認用のID(運転免許証とか)の提示が必要です。

一方日本の銀行では、引出し額が100万以下であれば、通帳と届出印があれば誰でも引き出すことが出来てしまいます。

届出印の威力が凄すぎませんか?

だって印鑑って複製可能じゃないですか。

そりゃ、複雑な印章デザインの印鑑を作れば複製の難易度は上がりますが、でもハンコ屋さんを抱き込めば複製は出来ちゃいますよね。

その複製可能な印鑑だけで本人確認せずに口座引き出しが出来ちゃうんですから、どんだけ印鑑に信用を置いてるの?って話ですよ。

その昔、払い戻し金の受け取りに郵便局に行ったのにハンコを忘れてしまったとき、こんなやりとりがありました。

僕:「すみません、印鑑忘れちゃったんですけど、免許証+サインで手続きできませんか?」

局員:「三文判でもいいのでお持ちじゃないですか?」

僕:「持ってないです。(ってか実印なんか持ち歩かないし、持ってたら使ってるよ!)」

職員:「それではですね、市役所出て右に200m程行くとマル○ツがあってそこの2階の100円ショップで三文判売っていますから、そちらでお求めになってからもう一度お越しいただいてよろしいですか?」

僕:「は?僕にしか書けない自署はダメで、誰でも買える三文判だとOKなんですか?」

職員:「…まぁそう言われるとアレなんですけど、決まりなので。」

と、確か1,000円ぐらいの還付金を受け取るのに100円の三文判を購入した覚えがあります。(笑)

印鑑って不便じゃないですか?

だから「通帳と印鑑は大事に保管してください」と言われるのはちょっと違うと思うんです。

皆が皆、頑丈な金庫をもっているわけじゃないですし、そもそも形あるものは盗難や紛失する可能性が常につきまといます。

ですから「盗まれないように大切に保管してください」ではなく、通帳や印鑑など使わなくても口座操作出来る仕組みを提供するのが本当のサービスだと思うんですよ。

ユーザに責任を押し付けるのではなく、形あるものは盗難、紛失する前提の元にシステム構築するのが、サービスの基本じゃないのかなー、と。

じゃあ、サインのほうが優れているのか?

一方、署名は体一つあれば書けますし、印鑑のように「家に忘れたために手続きが出来なかった」というような不便さはありません。

もちろん、中には夫の小切手を妻が真似て署名して振り出した、なんてこともアメリカあたりではよく聞く話です。

まあこのあたりは印鑑と同じですね。

不正引き出しや不正振り出しによる犯罪となれば、署名の筆跡鑑定となるので、かなり高い確率で不正署名が検出されます。

したがって印鑑と署名の安全度でいえばどっちもどっちですが、紛失や盗難の心配が無い署名のほうが扱いやすいと言えます。

印鑑を忘れたがために本人なのに窓口で引き出せなかった、とか、印鑑と通帳を盗まれて窓口で引き出されてしまった、というのは、今はユーザーの責任にされていますが、こんな不便は事業者側(この場合は金融機関)のサービスの仕組みで解決すべき課題だと思うんです。

クレジットカードの署名の意味

日本もクレジットカードが普及してかなり経ちますが、未だにクレジットカード裏面の署名の意味を理解していない人が多いように思います。

日本の店員さんって、クレジット決済のときカードをレジに通したら、「こちらにサインをお願いします」とカードとクレジット伝票と一緒に返します。

なぜかカード裏面のサインとクレジット伝票のサインを見比べないんです。

海外でクレジットカードで買い物するとわかりますが、レシートにサインをするとき、店員はクレジットカードを裏返しにして、購入者のサインとカード裏面のサインが似ているかどうか結構しっかりチェックします。

明らかにカード裏面のサインと異なる場合は、店員はその決済を拒否することが出来ます。

つまりサインが似ているかどうかでカード所有者本人かどうかを確認しているわけです。

しかし署名文化が浅い日本では、残念ながらクレジットカード裏面のサインの意味について理解されていないようです。

まぁ、最近はサインよりもPINコード入力(4桁の暗証番号)のほうが多いので、このまま理解されないのでしょう。(笑)

どうせやるなら印鑑登録よりも署名証明にすべき

そもそも印鑑証明って必要なんですかね?

いや、法律でそう決まっているから、と言われるとそこで終わっちゃうんですけど、僕が言ってるのは印鑑登録というシステム自体必要なのかどうか、って話です。

僕は印鑑が煩わしいと思っているほうなので(笑)、僕と同じように思っている人がたくさんいるかと思いきや、意外と少ないんですね。

ググっても出てくるサイトは「なぜ○○の書類には印鑑証明が必要なのか?」とか「そもそも印鑑登録・印鑑証明って何?」みたいな印鑑登録システムありきの説明しか出てきません。

印鑑登録や印鑑証明は、日本の社会システムにがっちり組み込まれているせいか、この制度自体を疑問に思う人は少ないのでしょうか?

そう思ってはいるけど声を上げていないだけかもしれませんが、この結果にちょっとショックでした。(笑)

で、どうせやるなら印鑑を登録するんじゃなくて署名を登録するようにすれば、少なくとも印鑑を忘れただの失くしただのとった不便さから解消されるんじゃないの?と思った次第です。

印影を画像データとしてデジタル保存するのであれば、書名を画像データとしてデジタル保存するのも可能なはずです。基本的な技術やオペレーションは変わらないのですから、さほどコストを掛けずに実現できるのでは?と思うんですよね。

今は大分印鑑が無くても事務処理出来るようになってきましたが、このIT全盛時代に”ハンコ”という自宅の鍵以上に紛失してしまいそうなものに頼っている社会システムってどう考えてもイケてないと思うのは僕だけでしょうか?