僕が社会に出たばかりの頃、女子社員が出社してまずやることは、給湯室に山積みになっている灰皿を洗って各自の机に戻すことでした。昭和じゃなくって平成に入ってからの話です。今じゃ信じられないです。
昔は社会がもっとタバコに寛容だったこともあって、そこらじゅうでタバコ吹かしている人が多かったですが、今じゃ駅前ですら灰皿が無くなって喫煙者は随分肩身が狭くなりました。
僕自身は12年前に禁煙して、夜中にイライラしてタバコを買いに行くことも、新幹線でイライラすることも、出先のコンビニに自分の愛飲する銘柄が無くてイライラすることも無くなって、精神的にずいぶん健全になりました。(笑)
かつて喫煙者がよく言っていた「我々は自ら進んでタバコ税を払って国の税収アップに寄与している。我々が禁煙したら税収が下がって大変だろ」という理屈も、「喫煙者のCOPD、肺がんの医療費が財政を圧迫している」という反論であっさり論破されてしまいました。
僕は以前喫煙者だったので百害あって一利なしとまでは言いませんが、メリット/デメリットを天秤に掛ければやっぱりデメリットのほうが多いと思います。
ところで先日、Yahoo!知恵袋でこんな質問を見かけました。
コミュニケーションの為にタバコを吸った方が良いのでしょうか?
以前の部署は、社内SEだったので、現場の人とあまり接する事はありませんでした。
現場の人はみんなタバコを吸って、世間話をしています。
生産管理の人はみんなタバコを吸っています。私は10年以上前は吸っていましたが、辞めています。
タバコを吸ってコミュニケーションを取った方が良いのでしょうか?
(Yahoo!知恵袋より引用)
会社ではよくありがちな話ですね。
特に現場の中心メンバーが喫煙者だったりすると、職場の話題が喫煙所中心で語られるので、異動したばかりで職場に馴染んでいない時は特に疎外感を感じたりします。
先日、私の部署の若いエンジニアも同じことを言ってました。彼は元々非喫煙者なのですが、喫煙所の話題についていけないのでタバコを始めようかと思うんです、と言うのです。もちろん全力で止めました。
よくよく話を聞いてみると、同じチームの同期の喫煙者が上司によくタバコに誘われ、喫煙所で聞く昔話や技術的な話がすごく為になる、と話すのが羨ましいのだとか。
なんとなく自分が喫煙所にいないことで同期と差が付くような気がするのでしょうね。
でもこれって、人気のTV番組や流行のお笑いに乗り遅れて仲間内の話題についていけないことを嘆いているのとあまり変わりません。
学生時代の仲良しグループで、共通の話題に乗り遅れてそんなに好きでもないのに録画予約してみたり、自分はそんなに好きでも無いのにグループのマジョリティに同調してみたり。
こういうグループで過ごしてきた人は、自己主張が無く周りの意見に流されるタイプが多いです。
仲間外れにされたくないから自分の意見を押し殺して無難な意見を言うか、多数の意見に同調する。そして「グループの輪を乱さない自分は仲間を大切にしている」と自分自身に言い聞かせて納得します。1人で外食出来ない人もこのタイプが多いですね。
話が逸れました。喫煙所の話でしたね。
でも僕の経験からすると、喫煙所でする話って居酒屋でする話と大差無いですよ。
そりゃ先輩や上司から聞く昔のエピソードや現場の武勇伝とかは聞いてて面白いですし、為になる話もいっぱいあります。でもそれを聞かなかったからと言って自分の仕事に差が出るかというと、全くそんなことないです。
居酒屋で酔っぱらってエンジニアリングについて熱く語るのは楽しいですし、今でも聞いてて「なるほど」と思うことはたくさんあります。でも翌日忘れていても全然仕事に差し支えない。
「為になるけど仕事に直結しない」という点では、自己啓発本に通じるものがあります。読めば読むほど「なるほど~」と唸りますが、かと言ってそのことで自分の仕事が飛躍的に向上することなんか無いように。
喫煙所でのコミュニケーションに飛び込むために、これからタバコを始めるなんて愚の骨頂です。
今までタバコに無縁だったことに感謝して、今後も健康に留意して仕事に精を出しましょう。本当に必要な情報は必要としている人に自然と流れます。
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