吉本興業のいわゆる「闇営業」問題が鎮火するどころか増々炎上している。
事の発端は、カラテカ入江の口利きで反社会勢力のパーティーに出席して金銭を貰っていたこと。
当初は雨上がり決死隊の宮迫、ロンドンブーツ1号2号の田村亮らは「ギャラを受け取っていない」としていたが、一転して金銭の授受があったことを認めたため炎上した。日本人はことのほか「嘘をついていた」ことに厳しいのでそうなってしまうのも当然である。
先日の宮迫、田村(亮)の記者会見では、ギャラを受け取ったことよりも、むしろ一刻も早く記者会見で謝罪と釈明をしたかった芸人サイドの要望を吉本興業側が一蹴したことや、契約解除をチラつかせて記者会見を開かないよう恫喝するといった新事実がより一層問題に拍車をかけた。
そこで昨日の岡本社長の記者会見である。
大企業の記者会見としては結構なグダグダっぷりで突っ込みどころ満載だったが、宮迫・田村(亮)への恫喝事実・内容にはここでは言及しない。
僕が気になったのは、デイリースポーツが報じた次の記事だ。
この記事では「企業のトップが所属芸人に「さん付け」して呼んでいたことにも、違和感を指摘するコメントも集まった」と報じている。
芸人は社員ではない
先日の岡本社長の会見を見ていた人の中には、
と思う人がいたのだろう。それも少なくない数の人が。
しかしよく考えてみて欲しい。
吉本興業の芸人は吉本に雇用されている社員ではない。
「業務委託契約」もしくは「専属所属契約」という契約で縛られる、個人事業主である。
もし芸人が吉本興業の社員ならば、社長より年上だろうが年下だろうが対外的には「弊社の社員」もしくは「呼び捨て」にするのが普通だ。「その点については弊社の佐藤(代表取締役)がご説明いたします」といった具合に呼び捨てするのが普通だろう。
一般の企業でも、業務を外注する場合は「業務委託契約」を結んで発注するのが一般的だ。
この場合、発注企業と委託先企業は対等な関係にある。「雇用主と社員」のような主従関係(上下の関係)ではない。
例えば、A銀行のオンラインシステムを業務委託契約で請け負ったBシステムハウス社が、社員の不祥事で顧客データを流出させたとしよう。
A銀行の頭取・副頭取が記者会見でBシステムハウス社の責任者を呼び捨てにすることは無い。というかありえない。
それは発注企業~請負企業の関係で会社対会社では対等だからだ。(立場上の強弱はあるかもしれないが)
仮に松本人志や明石家さんまが吉本興業の社員だったら、岡本社長が公の場でさん付けで呼ぶのはもちろんおかしいだろう。
しかし彼らには雇用関係はない。岡本社長が公の場で「松本さん」「さんまさん」と呼ぶことは全くおかしいことではない。
しいて言えば岡本社長が「宮迫くん」「亮くん」と君付けで呼称していたことのほうがビジネスマナー的にはどうかと思うが、一般の業界と異なりタレントそれ自身が商品であることを考えると、所属タレントとの距離の近さから出た部分としてはわからなくもない。
誤った報道による誤解
芸能人が不祥事を起こすと、多くの場合「○○はxx日付けで所属事務所を解雇されました」と報じられる。
このように報道されると、多くのサラリーマンは「○○は△△事務所の雇用されていたのか」と潜在的に認識してしまう。
特にビジネス経験の無い大学生や社会経験の浅いサラリーマンほどそう感じてしまうため、「企業のトップが所属芸人を”さん付け”で呼ぶのはおかしい」とトンチンカンな指摘をしてしまう。
就活大学生や社会人1年生は、ビジネスマナーとして「社内の人間を対外的に呼ぶときは上司・先輩でも”呼び捨て”にする」と教わっていることもあり、なおさらそう考えてしまうのだろう。
最近は自分の妻を”奥さん”と呼ぶ人が増えている
「さん付け」とは少し違うが、最近は自分の妻のことを”奥さん”と呼んでいる人が増えてきている。
別に家の中で呼ぶ分には全く問題無いのだが、対外的に「ウチの奥さんが…」といった誤った使い方をする人が多い。
”奥さん”とは”他人の奥方”のことを呼ぶ言葉であって、自分の嫁は「妻」もしくは「家内」と呼ぶのが正しい。
○「○○さんの奥さんは~」
○「妻(家内)が~」
最近は芸能人、特に20~30代の人がTVで誤用しているのをよく見かける。
しかし最近では「家内」と呼ばれることを好まない女性も増えているのだとか。「いつも家の内にいる=専業主婦」というイメージを嫌うのだそうな。
いやはや、言葉狩りもここまで行くと大したものである。
誰も「ウチの家内は~」と言われて、「あぁ、あなたの奥さんは専業主婦なんですね」なんて思う奴なんていねーよ、と思うのだが、「家内」という字面に噛みつかずにはいられなかったのだろう。
次の社長は藤原副社長か?
個人的には昔、ガキの使いにちょくちょく出ていた岡本マネージャーが面白かったのだが、山崎邦正だったか誰かに無茶苦茶ブチキレてどつくシーンがあったけど、演出なのか本気なのかよくわからんぐらいにキレてたのを思い出す。(もちろん演出なのだが)
松本は一昨日のワイドナショーで「岡本は言葉遣いで少し横暴な部分があって…」と言っていたが、当時のガキ使からパワハラ的な片鱗が見え隠れしていたのかもしれない。
グダグダな吉本興業 岡本社長の記者会見だったが、一つだけ良かった点は藤原副社長が要所で岡本社長をフォローしていたところだった。
岡本、藤原の両者は共にダウンタウンのマネージャであったことは衆知の通りで、暴走する岡本社長をいい感じに諫める藤原副社長という構図が透けて見えるような会見だった。
このまま世間の批判が収まらないとすると、藤原副社長が昇格するケースも十分考えられるような気もするが、果たしてこの騒動の結末はどうなるのか。
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