ANA SFC改悪 最終章へ
ANAの上級会員(スーパーフライヤーズカード:以下SFC)の改悪が止まらない。
まず、コトの経緯を説明しよう。
ANA SFC改悪の経緯
SFCとは?
既に知っている人も多いだろうが、マイレージプログラムについて簡単に説明したい。
一般的に航空会社は、航空機を使用した距離に応じてマイルを付与する「マイレージプログラム」を用意している。
溜まったマイルで航空会社系のショップの買い物に使えたり、提携ショップでの買い物ポイントに変更できたりするので、マイルを溜めている人も多いだろう。
その中でも、たくさん航空機を使う客を囲い込むだめに、航空会社は常連客用のプログラムを用意している。
それを一般的に「フリークエントフライヤープログラム」と呼ばれ、航空会社が定める基準をクリアすると一般のマイレージ会員よりもステータスが高い上級会員となり、優先搭乗、利用路線距離に応じたマイル付与、空港ラウンジ利用、会員特典プレゼントなどが利用できる。
このフリークエントフライヤープログラムのJALでの呼称は「JALグローバルクラブ(JGC)」、ANAでの呼称が「スーパーフライヤーズ(SFC)」である。
これは仕事で飛び回るビジネスマンのロイヤルティを獲得することで収益を拡大させる戦略で、世界中の航空会社が導入しているプログラムだ。
ちなみに私も前職で出張が多いときに、予期せずSFCステータスを満たして会員になった。
新型コロナによるサービス改悪
しかし2020年に発生した新型コロナウィルスの世界的な蔓延で状況が変わった。
感染拡大防止の観点から外出制限などが行われ、その結果、海外旅行、国内旅行が大幅に減少したのは記憶に新しい。
当然、航空会社は大打撃を受けたのだが、その煽りを食らって、SFC会員へのサービス削減が行われ始めた。
現在の報道では「新型コロナ後にラウンジの混雑がひどく、上級会員からの苦情が増えていた」ということを理由にしていたが、実はその前からSFC会員へのサービス改悪は行われていた。
例えば、SFC会員には年に一度、壁掛けカレンター(市価1,600円程度)や革手帳(市価2,000円程度)が送られてきたが、2023年頃から壁掛けカレンダーが卓上カレンダーに変更され、2026年にはその卓上カレンダーと革手帳の配布サービスが終了となる。
また、SFC会員にはANAポイントが最低8ポイント付与され、エコノミーからプレミアムクラスへのアップグレードが4ポイント/回でできた。(当日、プレミアムクラスが空いていれば)
つまり年に2回、国内便ではあるがビジネスクラスに無料でアップグレードできた。
しかし2023年にこの制度が8ポイント/年から4ポイント/年に変わり、さらには2026年からは廃止されることが決定している。
これからはプレミアムクラスへのアップグレードは現金かマイルを使え、ということ。
他にも細かいことを言えば、ラウンジの小袋スナックに入っているアーモンドが黒大豆に変わったりと、見えないところでのコストダウンでその足音はなんとなく感じていた。
2026年5月の発表でトドメを挿した
2026年5月に、ANAはSFC会員規定を大幅に変えることを発表した。
具体的には、SFC会員を2つに分ける。
ANAカードとANApayの利用が年間300万円以上の会員は「SFC Plus」、300万円未満の会員は「SFC Lite」と区分される。
そして、SFC Lite会員は「ANAラウンジを使えない」という。
中々シビれる話である。
要するに「たまにしか使わない客にはラウンジは利用できません、ラウンジはたくさん利用するお客様のためのものです」、と再定義したわけだ。
今のところ、この「貧乏フリークエントフライヤー排除」の動きはANAだけであるが、恐らくJALも追従するだろう。
私は、たまたま自分の従事している仕事の都合で上級会員になったに過ぎないが、いわゆる「マイル修行」でSFC会員になった人は涙目だろう。
しかもここ数年でマイル修行でSFCを獲得した人は憤懣やるかたないことだろう。
数十万使ってプラチナ会員基準をクリアして念願のSFC会員になったのに、これからはANAカードで年間300万を決済しないとラウンジを使えない。
なんとも酷な話である。
もう少し緩やかにやるべきだった
ANA内部でも相当議論があったとは思うが、客観的に見るとずいぶん思い切った施策を打ったなという感想だ。
個人的な感覚では、SFCには2種類の層が存在する。
一つは「上級会員」というステータスに価値を感じている層だ。
彼らは、仕事での飛行機利用+自腹修行によって上級会員のステータスを獲得し、一般客とは違うサービスを受けて「優越感」を味わう。
SFC会員専用カウンタ、会員専用手荷物検査レーン、ラウンジの利用、どれも普通席の一般会員は使えないサービスである。
しかもこの会員資格は金を積んでも買えないところがポイントだ。
芸能人だろうが大物スポーツ選手だろうが、搭乗実績が無いと上級会員になれない。(裏口的な会員付与方法があるのかもしれないが、一般人の私は寡聞にして知らない)
こういった点も、ブランド好きには堪らないのだろう。
ブランド品を身につけて自己顕示欲、承認欲求を満たすのと本質的には同じだ。
SFCになってアップグレードポイントでプレミアムシートに搭乗して、ミニシャンパンをサーブしてもらい飲まずに持ち帰る、というところまでセットである。
もう一つは、出張族が成り行きでSFCになったケース。
私のようにたまたま国内出張が多くて、意図せずにSFCになれたケースだ。
しかも私は「年間50回以上搭乗」という基準すら知らず、1月に「プラチナ会員」の通知をもらって初めて知った。
それまでは、空港ラウンジなんて海外出張の多い「エグゼクティブ」な人ぐらいしか使えないのだろう、ぐらいに思っていたほど制度に疎かった。
専用カウンターや会員専用ラウンジが使えるようになったことは嬉しかったが、私は酒をあまり飲まないので、ラウンジでの無料生ビールやアルコールサービスは私にとってプレミアムではない。
せいぜいラウンジでPC開いてゆっくり仕事するぐらいである。
時間に余裕をもって空港に行けるときはいいのだが、大体仕事が長引いたり、空港までの交通機関が混んだり、レンタカーの返却に手間取ったりと、ラウンジでゆっくりする時間はそれほど多くない。
CAさんに「いつもご利用ありがとうございます」と言われるのは有り難い反面、今はそれほど利用していないので、そんなことを言ってくれることに申し訳ない気持ちのほうが若干強い。
マイル修行でSFCを獲得した人と、ビジネス用途で獲得した人とはかなりの温度差があると思う。
とはいえ、SFCステータスの付帯サービスの中でも大きなウェイトを占める「ラウンジサービス」を、年間300万の決済を条件で切り捨ててしまうのは、マイル修行組もさることながらビジネス獲得組の反感を買うのも必至である。
バッサリと切り捨てるのではなく、プレミアムポイントを活用してソフトランディングさせるなど、反感を和らげる方法はあったのではないか。
例えば、前年度の利用実績に応じてプレミアムポイントを付与する制度は残し、「2028年からはSFC Liteのお客様はプレミアムポイント1ポイント=ANAラウンジ1回使用」という運用にすれば、緩やかにラウンジ利用者を制限することもできるはずである。
そもそも、ラウンジの利用者がここまで増えたのは、ANAがフリークエントフライヤープログラムの設計と将来予測の見通しが甘かったのが原因であり、もっと早い段階で制度変更すべきだったと思う。
私がSFCになったのが2000年だったが、そのときも「SFCが永久会員だと、上級会員が増え続けるよね、どうすんだろ?まぁそのくらい考えて設計されてるよね。」と感じたことを思い出す。
SFC会員の退会も視野に
冒頭にも書いたように、私は現在の航空機利用は年間4~5往復程度に留まっている。
この利用頻度でSFC会員の年会費16,500円はかなり割高に感じる。
このまま行けば私のステータスは”ANA Lite“になり、ANAラウンジは使えなくなるが、年会費は変わらない。
かと言ってANAカードで年間300万も決済するほどの消費も無いので、SFCを退会するかもしれない。
そもそも私は富裕層でも無いし、一介のサラリーマンであと10年足らずでリタイアする身である。
会社の出張で手に入れたSFCなので、手放すことにそれほど「もったいない」とは感じない。
現在はANAカードをメインカードにしているけど、2028年以降はViewカード(JCB)にしてJRE POINTにしたほうがお得そうである。
今まではANA SFCなので、国内便はほぼANA便を使ってきたが、2028年以降はJAL便の選択も視野に入ってくる。
度重なるSFC会員への改悪が続いていたので、いずれこうなるのではないかという想いもあった。
むしろSFCを退会するきっかけとなったと考えれば良いのかもしれない。
ANAは好きな航空会社だったが、向こうから切り捨てられるのであればしょうががない。
今までありがとうANA、そしてさようなら。

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