エスカレータが遅くてモヤモヤする

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エスカレーターでもやもやする話。

先日、某イトーヨーカードーに行ったら、エスカレーターが異様に遅くてびっくりした。

なんでも、お年寄りに配慮して速度を2/3に落としているとのこと。

どうみても1/2ぐらいに落ちているような気がするのだが、そこまで配慮しなければならないものなのかと疑問が湧く。

実際、その数週間後に再びその店を訪れたとき、杖をついた70代ぐらいと思わしきおばあさんが「このエスカレータ、本当に遅いわね」とイラついていたのを見て、私の疑問は確信に変わった。

配慮したつもりが、その対象者から「遅い」と言われているのは、もはやギャグでしかない。

まさに親切の押し売りとはこのことだろう。

親切の押し売り

そう、この一見「お年寄りに配慮しています」アピールは、まさに親切の押し売りであり、健常者の自己満足でしかない。

なぜなら、その店舗にはエレベータもあって、エスカレータの乗るタイミングを取りづらいお年寄りはエレベータが使える。

なのに、エスカレータ自体の速度を強制的に落としては、圧倒的多数の健常者の客に不便を強いることになる。

その結果、エスカレータの右側を歩いて昇る人が圧倒的に増えてしまったのだ。

駅のエスカレータなどで問題になっている「歩きエスカレータ」がこの店では多発しているわけだ。

逆差別

一般的に、マイノリティに対して過剰に配慮するが余り、他の大多数に我慢を強いることは「逆差別」と言われる。

行きすぎたポリティカル・コレクトネスも逆差別にあたる。

穿った見方をすれば、「足の悪いお年寄りに配慮している素晴らしい店舗で凄いだろ、俺たち」という押し付けに見えなくもない。

もしこの店舗にエレベータが設置されていないのであれば、エスカレータの速度を落とすのはまだ理解できる。

しかしそうではないのだ。

杖のついたおばあさんに「このエレベータ、遅いわね」と苦言を呈されているのだ。

過剰な配慮は失礼にあたる

たまにファーストフード店で見かけるのは、席で品物を待っているお年寄りに対して、まるで子供に接するような態度で対応する店員である。

健常者に比べて機敏な動きができない、滑舌が良くないとは言え、子供扱いされれば、大抵の老人は頭にくるだろう。

それで語気を荒げれば老害によるカスハラと言われる時代である。

相手をおもんぱかった行動は、必ずしも相手のためにはならないことを知るべきだろう。

日本人は優等生になりたがり過ぎ

これで思うのは、日本人は「優等生なりたがり症候群」なのではないか、ということ。

例えば、国際試合で日本の応援団が、試合後にスタジアムを掃除することが海外メディアに取り上げられることがある。

確かに、この行為自体は悪いことではないが、どこか純粋な気持ちでやっているというよりは、海外メディアに取り上げられて「日本スゴイ」と言われたがっている、そういう評価をされることを期待した行動になっているような気がするのだ。

そこに違和感というかモヤモヤ感を感じてしまう。

「日本人は試合観戦後はスタジアムを掃除する民族だ」

という評価が定着してしまうと、今度は「掃除しなければ」という同調圧力が働くようになる。

飲食店で食事後に食器を重ねておく、というものそうだ。

店員さんが後片付けしやすいように、という配慮だが、店員としては食器を回収しやすい重ね方をある程度ルーティン化しているので、いつもと違う積み方をされていると、片付けに少々手間取る。

正直、そのまま放置して帰ってもらったほうがやりやすいのだ。

これも、どこか「いい客と思われたい」という優等生的な気質が見え隠れする。

日本のおもてなしの根底にあるもの

日本には世界にほこる「おもてない」の心がある、というが、私はこれは、日本人の多大な犠牲の上で成り立っているのではないかと考えている。

例えば、時間に正確な電車運行は世界に誇れるものではあるが、その裏側では鉄道会社社員による多大な犠牲が払われていることは容易に想像できる。

1分1秒でも性格に運行できるよう現場では常に緊張を強いられ、人身事故や動物接触などで遅延しても

「本日は○○の影響でみなさまの到着が遅れましたこと、深くお詫びいたします」

と謝罪するのは、もはややり過ぎである。

コンビニでの過剰な接客も、店員の犠牲の下に成り立っている。

日本のコンビニの丁寧な接客より、アメリカのコンビニ店員のぶそんな接客のほうが時給は高いわけで、

誰がためのサービスなのか

日本は今一度、そのサービスは誰のためのサービスなのか、を考えるべきだろう。

もしかして「サービスをしている自分たちが独りよがりしているだけではないのか?」と立ち戻って点検すべきだ。

そうすれば、あの遅いエスカレータが本当に必要なのかがわかるはずだ。

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