私のネット歴は一般の方に比べると長いほうだと思う。
私が就職した1989年、まだオフィスのPCが一人一台無かった時代に、デバッグ用のPC-9801にその辺に転がっていた1200bps半二重のモデムを繋いで、昼間からパソコン通信のBBS(掲示板)を巡回して遊んでいた。
モデムからピーガーと発しながらキーボードを叩いていると、当時はそれだけで仕事してるっぽく見えるので、Nifty-Serveに接続してBBS(掲示板)を回って遊んでいた。今で言う不良社員だ。
こんな社員でもクビにならなかったのは、ひとえにバブル真っ盛りだったからだろう。
当時、パソコン通信なんてオタクがやるもので、一般の人はおろかエンジニアですら知らない人が多かった。
その後、企業のWebサイトがちらほら出てきて、1995年にWindows95が発売される頃には企業の広告用としてWebサイトを作る企業も増えてきた。
この頃から、ドメインを取得してWebサーバを立ち上げる個人サイトを見かけるようになったと思う。
今は個人サイトを立ち上げようと思えば1時間もあればできるが、当時は気軽に使えるレンタルサーバも無く、自宅でサーバを立ててドメインとグローバルIPを取得してと、今よりずっとずっと面倒だった。
それでも、個人で雑誌を出版するよりは、自宅サーバでWebサイトを立ち上げるほうが費用的にはかなり楽だったので、いろんな個人サイトができはじめたのもこの頃だったと思う。
多くの個人サイトは数年運用すると飽きてしまうのか、段々と更新頻度が下がり、ドメインネームの更新タイミングか自宅サーバの故障のタイミングで消えていった。今でも個人サイトはその傾向が強いけど。
そのときから30年近く継続している個人サイトがある。
それがこのサイト。
トップページからいかにもHTMLな香りがするのは、1990年代にHTMLで作られたページを継承しているからだろう。
WordPressで作られた今のWebサイトを見慣れた人にはダサく感じる(失礼)と思うが、私が好きなのはそのコンテンツだ。
このサイトのオーナーは、記事を読む限りでは、
・無線系を専門としている?
・アナログ回路の知見も凄い
・車やバイクの知見も玄人裸足レベル
・のめり込むととことこんハマる
という感じのオーナーさん像である。
こういうバックグラウンドの知識を背景に、あらゆる事柄を斬っていく論評が読んでいて気持ちいい。
例えば、トップページには毎日1000~1,500文字程度の日記風な記事をアップしている。
日記を毎日上げている人はいるが、このF&Fのオーナーさんは、1997年9月から毎日(!)、一日も欠かさず記事を上げている。(記憶ではもっと前からあったと思うが、初期の頃はバックナンバーを取っていなかった模様)
26年、一日も欠かさずですよ!
途中、何らかの事情で上げられなかった日が何度かあったけど、それでも上げられなかった日の分は後日アップして、1日1記事のペースは現在もキープしている。
自動車の遍歴や記事内容をみると、年代的には昭和30年代後半生まれの方なのかと推測する。
本業は弱電系ハードウェアエンジニア(ではないかな)と思われるが、マイコンからソフトウェアまで幅広く、「ソフトウェアは専門では無いのだが」と言いながらも玄人裸足な知識で驚く。
僕はこれでもマイコン界隈では30年以上のキャリアがあるが、こちらのオーナーさんには到底敵わない。
自宅の新築、補修や車関係のDIY、実験的料理など、エンジニア視点でかつ軽妙な語り口の記事が読んでで飽きないのだ。
今のフロントエンドのWeb技術であればもっと見やすい、レスポンシブルなサイトに出来なくもないのだろうが、このサイトの真髄は見た目ではなくコンテンツにある。
恐らくサイトオーナーさんもそれをわかっているのだろう。
トップページは20年以上変わらず、別館(annex)としてWordpressのサイトでブログ風に記事更新をされている。
トップページのコラムは毎日1更新だが、Annexのほうは日に何度も記事を更新しているようだ。
凄すぎる。
もう書くのがライフワークになっているのだろう。凄すぎて真似できない、いや真似する気が起きないぐらい。
今でも、午前中に会議や外出が無ければ、10時過ぎにコーヒーを飲みながらFirst and Fastのトップページを読んで一息つくのが日課である。
オーナーさんは企業勤めならもう定年になるぐらいだろうか。それともフリーランスで現役バリバリに仕事されてる方なのだろうか。
文面からそのあたりはわからないが、雑記の舌鋒の鋭さは昔と些かも変わっていないので、きっと現役でエンジニアされている方なのだと思う。
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